スケーリング(歯石除去)について
スケーリングという処置は、単に歯石を取ればいいというものではありません。
歯石は歯垢を放っておくと出来てしまいますが、その歯垢1mg中にはなんと、10億個の細菌がいるとされています。歯垢とはプラークと呼ばれる、この細菌達の集まりと食べかすで出来ています。歯垢は、ワンちゃん、ネコちゃんではたったの4日で歯石になってしまいますが、これは実に人間の5倍以上のスピードに相当します。
歯石そのものは文字通り石に近いため細菌活性は高くはなく、実はあまり害がありませんが、放っておくと様々な病気の元となってしまうため、早めに除去してあげる事が重要になります。
歯石は歯周炎の原因になる?
歯周炎は、軽石のようにざらざらとした歯石の表面から入り込んだ細菌達が出す毒素によって、歯茎に起こってしまった炎症のことです。当然、放置すればだんだんと進行し、出血したり膿がたまり、さらに進行すると顎の骨が溶けたり、歯が抜けてしまったりします。
つまり、歯石除去の目的は、こういったことにならないように、歯の表面を滑らかにして、細菌のすみかである歯石を取り除き、プラークをコントロールすることにあります。歯石を取れば歯周病がよくなるのではなく、取った後も継続的にプラークコントロールすることが重要です。
スケーリングには麻酔が必要?
目に見える歯石や歯垢が全てではありません。歯石も歯垢も、歯肉より内側(歯周ポケットの中)にも付着しますので、目に見えるところだけを除去しても効果は高くありません。むしろ、歯周ポケットの中の歯石の方が固く、取れにくいと言われています。
麻酔をしないで、こういった処置が完了するわけがありません。
歯石除去に使うスケーラーは先端が尖っており、嫌がったり動いたりする動物の口に入れることは大変危険です。無麻酔で目に見える歯石だけを取ることは、大切なワンちゃんや、ネコちゃん達の口を傷つけるだけではなく、押さえつけられればストレスも非常に大きなものになるはずです。歯石や歯垢のできやすい奥歯も無麻酔では限度があります。
安全で効率的に、歯石や歯垢に含まれる莫大な量の細菌を飲みこまないように除去するために、スケーリングの際は、麻酔も器具の扱いもしっかりとトレーニングを積んだ獣医さんにお願いしましょう。
歯石除去(麻酔下超音波スケーリング)の主な手順








