歯科治療例

【埋伏歯・含歯性嚢胞】

「来院理由」
3ヶ月前より下顎の右側が腫れており、徐々に腫れがひどくなっているとのことで歯科外来を受診されました。

「検査」
歯科レントゲン検査により、本来生えてくるはずの永久歯が下顎の歯肉の中に埋もれてしまっていることが判明しました。このような状態を埋伏歯(まいふくし)といいます。その埋伏歯の周りには、顎の腫れの原因と思われる嚢胞も確認できました。

  下顎のレントゲン写真 ポータブル
デジタルレントゲン装置

「処置」
全身麻酔での歯科処置を実施し、埋もれてしまっている歯を取り除くこと、嚢胞に対する処置を行いました。処置を行った後、徐々に顎の腫れはひいていき、処置後2週間で顎の腫れはなくなりました。

処置前 処置後

【歯周病】

3歳以上の犬猫の8割に歯周病があると言われており非常に多い病気です。
歯垢は毎日の生活でつきますが、その歯垢が歯石になるのにわんちゃんは3~5日、ねこちゃんは7日と言われています。日々のデンタルケアだけでは維持が難しくなることが多く、全身麻酔をかけて超音波で歯垢と歯石を除去する必要あります。
写真の子は麻酔下での歯石除去の処置を行い、口臭が改善されました。

【乳歯遺残】

通常であれば、約3カ月齢で乳歯から永久歯への交換が始まり、7カ月齢までにほとんどが交換し終わりますが、顎の小さい小型犬は小さな乳歯が永久歯に生え終わっても写真のように残ってしまうことがあります。
乳歯が残ると、歯の隙間に歯垢や歯石が蓄積し、歯周病や歯並びの悪化要因になりますので、麻酔をかけて抜歯する必要があります。

 

【猫の歯肉口内炎】

猫の口の粘膜に慢性の炎症がおこる病気です。
細菌やウイルスによる感染症、免疫系の異常などが関係していると考えられていますが、詳しい原因はまだわかっていません。
抜歯処置、抗生剤、抗炎症薬など様々な治療法がありますが、写真の猫ちゃん(右)のように難治性になることも多いです。

【歯肉形成術】

歯肉が過形成を起こし、歯周ポケットが深くなってしまうと、そのポケット内が細菌の温床になってしまいます。歯肉を一部切除し、正常な状態にもどす処置を歯肉形成術といいます。
歯肉の過形成が認められ、歯周ポケットが通常より深くなっています。歯肉炎も起こしてしまっています。写真1

過形成の起こっている歯肉の近縁を小さいメスを用いて切除し、適正な歯肉の輪郭を形成します。写真2 (処置前) 写真3(メスで切開線をいれている)

止血後、新たに出てきた歯面をスケーリング、ポリッシングをして終了です。写真4


写真1
歯肉の過形成で、歯周ポケットが深くなっており、炎症も起こしている状態

写真2
処置前

写真3
過形成を起こした歯肉の近縁を切除し、適正な輪郭を形成するため、メスで切開線を入れます。

写真4
処置後

【根管治療(歯内治療)】

破折で歯の中の神経(歯髄)が露出した際に行う治療です。歯髄を抜去して、詰め物をして被せものをすることで歯を保存します。
第四前臼歯での破折が最も多く、犬歯などでも起きることがあります。

折れた歯、赤い点が歯髄です 歯髄を抜去します 詰め物をします
被せものをして、固めます 処置後